建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、VR(バーチャルリアリティー)をはじめとしたICTを安全衛生教育の水準の向上につなげるための検討に着手する。VRなどを活用した安全衛生教育を、現場に求められるレジリエンス力(予測・注視・対処・学習の能力)を強化するための手法として位置付け、先進的な取り組み事例などを体系的に整理し、検討の成果を建災防が運用を始めている「労働災害防止のためのICT活用データベース」のブラッシュアップにつなげる。
主な検討課題は、▽レジリエンス力強化ための「VRの活用」をはじめとした安全衛生教育についての情報収集・整理について▽災害復旧・復興工事における労働災害の発生状況と労災防止に資するICT活用方法について―の二つ。
特に災害復旧・復興工事現場でのICTの活用は、二次災害を防止する効果も期待できることから、こうしたケースでの活用方法についても先進的な取り組み事例を収集して検討する。
建災防は、2017年度に学識者や業界関係者らで組織する「ICTを活用した労働災害防止対策のあり方に関する検討委員会」(委員長、建山和由立命館大教授)を設置。建設現場の生産性向上が求められ、ICT施工の適用工事が拡大する中で、発生が懸念される新たな労働災害への対応策や、現場の労働災害防止活動へのICT関連技術の活用方法などを探ってきた。
具体的には、建設工事現場でのICTの活用が労働安全衛生水準の向上に資する情報を収集。これらの情報を基に建設工事現場で危険有害要因を取り除き、作業の負荷を軽減する有益な技術情報を整理する一方、ICTを活用することで生まれる新たな危険への対応などについても検討。この間の成果を「労働災害防止のためのICT活用データベース」の構築に反映し、4月15日から公開を始めている。
提供:建通新聞社