国土交通省は、BIMを普及させる官民一体の推進体制となる「建築BIM推進会議(仮称)」を設置することを決めた。3次元モデルを設計・施工・維持管理へと一貫して利活用される枠組みを官民で構築するのが狙いで、関係する団体と国交省がBIM活用の将来像を共有し、将来像の実現に向けた官民の役割分担とロードマップを決める。中小の建設業や設計事務所への普及促進もテーマの一つになる。
推進会議は、土木分野の3次元データ活用について話し合う「BIM/CIM推進委員会」のワーキンググループとして設置し、建築分野の生産性を高めるBIM活用をテーマに議論する。委員長には東京大学大学院の松村秀一特任教授が就く。
国交省が17年度に行った調査によると、BIMを活用した実績がある設計事務所は34%、大手ゼネコンなどは71%。設計分野では設備系設計事務所での活用が限定的、施工分野では中小建設業でほとんど活用が進んでいないのが状況にある。
同省では、BIMが設計・施工分野個別の活用にとどまり、情報の一貫性が確保できていないことに課題があると考えている。基本設計の段階で作成した3次元モデルは施工段階に引き継がれず、施工段階で改めて作成したモデルも設備工事に活用されないなど、データの流通が段階ごとに断絶した状況にある。
一方、民間ベースでは、BIMを活用した建築確認手続き、BIMライブラリーの構築、BIMの教育・学習システムの構築といった動きも進んでいる。国交省も、直轄の営繕工事で本格的にBIM活用をスタートさせた他、将来的な3次元モデルでの建築確認審査を見据えた電子申請システムの構築にも乗り出す。
推進会議では、こうした官民の動きを共有し、BIM活用の将来像を提示するとともに、将来像の実現に至るロードマップと官民の役割分担を明らかにする。個別の課題に対応した部会も設け、BIM活用に向けた市場環境の整備を推進する。
推進会議に参加する関係団体は次の通り。
▽日本建築士会連合会▽日本建築士事務所協会連合会▽日本建築家協会▽日本建築構造技術者協会▽日本設備設計事務所協会連合会▽日本建築積算協会▽日本建築センター▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽日本電設工業協会▽日本空調衛生工事業協会▽建築保全センター▽日本ファシリティマネジメント協会▽不動産協会▽住宅生産団体連合会▽buildingSMART Japan▽日本建築学会▽建築・住宅国際機構▽日本建設情報総合センター
提供:建通新聞社