厚生労働省は、7月1〜7日までの「2019年度全国安全週間」を前に、6月1日から30日までを準備期間と位置付け、安全大会の開催などを通じた経営トップの所信表明、安全パトロールによる職場の総点検などを働き掛ける。19年度は、建設業における死亡者数を17年と比較して22年までに15%以上減少させる―などとした国の「第13次労働災害防止計画」の2年目。原則、フルハーネス型墜落制止用器具の使用などによる「墜落・転落災害」防止対策の強化や、増加が見込まれる外国人労働者への安全教育の実施など、これまで以上に店社・作業所が一体となった安全衛生体制の確立が求められている。
同省は、期間中、建設業労働災害防止協会とも連携して労働安全衛生法令の周知、再確認を徹底。事業場内の危険箇所の把握や元方事業者によるリスクアセスメントの実施など促す。4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)やKY(危険予知)活動、ヒヤリ・ハットなど日常的な安全活動の充実、活性化も呼び掛ける。
一連の啓蒙(けいもう)活動では「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(建設職人基本法)」が掲げる理念の一つ「請負契約における適切な安全衛生経費の確保」を受発注者に促す。
一方、建設業に対しては▽足場などからの墜落・転落防止対策の実施▽手すり先行工法の積極的な採用▽フルハーネス型墜落制止用器具の積極的な導入と適切な使用▽職長、安全衛生責任者などに対する安全衛生教育の実施▽元方事業者による統括安全衛生管理、関係請負人に対する指導の実施―などを働き掛ける。
また、転倒災害の増加などによって休業4日以上の死傷災害が3年連続で前年を上回る結果となっていることから、作業通路における段差や凹凸、突起物、継ぎ目の解消などの転倒災害防止対策を講じることや、WBGT値(暑さ指数)を活用した作業環境管理などによる熱中症対策の実施を呼び掛ける。
さらに、新たな在留資格「特定技能」を規定した改正出入国管理法が4月1日に施行されたことで、今後、建設業で受け入れる外国人労働者が増加すると予想されることから、母国語や視聴覚教材を活用するなど、外国人労働者が理解できる安全衛生教育の取り組みを求める。
提供:建通新聞社