政府は、国土強靭(きょうじん)化年次計画2019の素案をまとめた。18年度から始まった「国土強靱化3か年緊急対策」を計画的にフォローアップするため、事業費や箇所数などを指標として進捗(しんちょく)を管理する。気候変動の影響を踏まえた治水対策など、災害の教訓や技術の進展を踏まえて追加する施策を示した。インフラ強化や情報収集・発信など4月22日に開いたナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会で提示した。パブリックコメントなどを経て、5月下旬〜6月上旬にも計画を決定する。
年次計画は、国土強靱化基本計画に基づき、45のプログラムごとに推進方針と主要施策をまとめたもの。今回は18年に基本計画を見直してから最初の年次計画に当たり、プログラム推進に向けて施策を充実させる。19年度に取り組むべき主要施策には▽堤防やダム、排水施設の整備、機能強化など事前防災対策▽重要施設や避難地、避難路の保全に向けた土砂災害対策▽住宅や学校、道路橋梁などの耐震化―などを挙げた。
新たに追加する施策のうちインフラ強化の関連では、代表的な河川での気候変動を踏まえた治水計画の見直しなどを例示。ため池の統廃合や、分散型電源の導入なども挙げた。また、水防災意識社会の再構築に向けた関係機関の強化や、中小企業の事前防災・減災対策といったソフト施策にも取り組むとした。
懇談会ではまた、19年度の戦略的政策課題のテーマ案を提示。「東京一極集中リスクとその対応」と「公共性の高いインフラを中心とした官と民の連携」について検討していく。
提供:建通新聞社