建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、中小規模建設事業場向けに開発したNEW COHSMS(ニューコスモス)に対応しながら、さらに地場の中小建設業などが負担に感じることなく労働安全衛生システムを構築、運用できるようにした「コンパクトコスモス」を開発した。2019年10月から認定を開始する。
建災防は、建設業で発生した労働災害の95%が従業員50人未満の規模の事業所で発生している一方で、この規模の事業場は、安全衛生担当者が兼務になっていたりして安全衛生管理の仕組み自体が十分とはいえない事業場が多いことに着目。これらの事業場への労働安全衛生システム(ニューコスモス)の導入を推進するには、中小規模建設事業場向けに開発したニューコスモスよりもさらにシステム構築・運用の負担を軽減できるシステムを開発する必要があると判断した。
このため、新たに開発した「コンパクトコスモス」は、▽使用する労働者数が常時50人程度以下▽本社が全ての作業所を直接管理している(本社と作業所の間に作業所を管理する支店などが存在しない)―という条件を満たす建設事業場を対象に適用する。
ただ、労働安全衛生システムコスモスの基本的な考え方は変更することなく、基本的事項としている「システム教育の実施」「関係請負人の安全衛生管理能力等の評価」といった31項目の基本的事項は維持。運用の見直しで中小規模建設事業場の負担を軽減する。本社と作業所の役割分担を明確にし、建設事業場全体としてコスモスを運用する仕組みとする。
厚生労働省は3月28日、この時期恒例の「平成31年度における建設業の安全衛生対策の推進について」を労働基準局安全衛生部の3課長連名で通達。この中で建設業労働安全衛生マネジメントシステムの普及についても触れ、「建設事業者の的確な安全衛生管理活動を推進するためにISO45001にも対応した建設業労働安全衛生マネジメントシステム(NEW COHSMS)の普及促進を図る」考えを示している。
建災防は、説明会の開催などを通じてコスモス認定事業場の死傷者総数減少指数に表れる死傷災害の減少効果が、建設業全体より18・5ポイントも大きいことなどを会員企業に周知。地場の中小建設業者へのコンパクト・コスモスの普及、浸透を図っていくことにしている。
提供:建通新聞社