国土交通省は3月26日、直轄工事の低入札価格調査基準を改定し、調査基準価格の設定範囲を10年ぶりに見直した。設定範囲を予定価格の「70〜90%」から「75〜92%」へと引き上げる。現行の計算式では、調査基準価格が予定価格の90%を超える工事が約4割あるが、設定範囲の上限を上回っても、調査基準価格は予定価格の90%になる。上限を2ポイント引き上げたことで、予定価格の92%までは調査基準価格を設定できるようになる。4月1日に入札公告する工事から適用する。
直轄工事における応札状況などの調査結果を踏まえ、会計法令に基づく財務大臣との協議を経て基準の改定した。2009年度に予定価格の「3分の2〜85%」から現行の設定範囲として以来の措置。調査基準価格を引き上げて、ダンピング対策の効果を高める。
国交省は09年度以降、5度にわたって各項目の算入率を引き上げているため、調査基準価格が予定価格の90%を超える工事が増加。ただ、設定範囲で上限を拘束されるため、これらの工事は結果的に予定価格の90%に調査基準価格を設定する。上限値を予定価格の92%に見直し、調査基準価格を実質的に引き上げる。
設定範囲の下限値も70%から75%に引き上げる。
直轄工事で調査基準価格
が70%台になるケースはほとんどないが、独自の計算式で調査基準価格や最低制限価格を70%台に設定する地方自治体も一部にある。これらの自治体にも基準改定を促し、過度なダンピングを防止する。
また、基準の改定とともに、低入札価格調査の簡素化も図る。低入札価格調査の提出資料は現在の14様式から13様式、施工体制確認の提出資料は15様式から13様式に削減。一部の様式では提出資料の内容も簡素化する。
「新技術導入でコスト縮減も」
基準改定で調査基準価格を引き上げる一方、新技術導入によるコスト縮減を提案できる枠組みもつくる。入札書・技術提案書を提出する際、VE提案で応札額が調査基準価格を下回った場合、低入札調査で下請け契約や資材購入価格にしわ寄せがないことを確認できれば、落札を認める。大型工事などを対象に、技術革新によるコスト縮減を排除しないようにする。
提供:建通新聞社