国土地理院は、測量行政懇談会(委員長、清水英範・東京大学大学院工学系研究科教授)に「3次元測量検討部会」を新たに置くことを決めた。測量法に基づく基本測量と公共測量以外の測量も含めた、測量成果の整合性を確保するためのルール、3次元の地図作製に利用可能な3次元点群データの公開ルールなどについて2019年度から検討を始める。部会には3次元測量成果の整備や活用に関する課題と対応方針について提言してもらう考えだ。
地理院は、新しい測量技術による公共測量の精度を担保する一方、国土交通省が推進するi-Constructionに寄与することを目的として、航空レーザ測量や車載写真レーザ測量などを「作業規程の準則」に位置付ける一方、ドローンなどのUAV(無人航空機)やレーザスキャナなどの新技術を活用した測量作業マニュアル案を2016年度から順次作成、公表している。
18年3月には、地上レーザスキャナの普及を見て取り、数値地形図データを作成するための測量手法である「地上レーザスキャナを用いた地形測量」と、3次元点群データを作成するための測量手法である「地上レーザスキャナを用いた三次元点群データ作成」を規定した「地上レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」を改定するなど、3次元測量の普及を支援し、精度管理を下支えしてきた。
ただ、近年相次いで発生した激甚災害での活用を通して、防災・減災には詳細な3次元地形データや構造物データが有効であることが実証されており、自動運転のための環境整備への期待や、自律飛行の安全性が求められる新たなサービスの創出などもあって、3次元測量と3次元地図をめぐる環境は急速に変化し、その市場性も大きく広がりつつある。
また、将来、準天頂衛星による国家座標に準拠したサービスが提供されるようになれば、簡便な3次元測量の普及がさらに加速する可能性があるとみている。地理院はこうした急激な環境変化を踏まえ、3次元で作成した地図の利用分野や要求精度などについて有識者の意見を聞いてロジックを整理、測量行政に反映させていく必要があると判断した。
提供:建通新聞社