石井啓一国土交通相ら国交省幹部は3月18日、建設業4団体の会長らと会談し、公共工事設計労務単価の引き上げを踏まえ、技能労働者の賃金水準を確保するよう求めた。国交省は、2019年度も週休2日工事に対する補正措置の継続を決めており、石井国交相は「改定後の労務単価の水準や週休2日工事の補正係数を踏まえた適切な請負契約を結んでもらいたい」と強調。さらに、4月の建設キャリアアップシステムの本運用に向け「システム登録の促進に最大限の尽力をお願いしたい」と要請した。
3月1日に改定された労務単価は、全国全職種平均(単純平均)で3・3%上昇し、単価の公表を開始した1997年度以降で最高値を記録した。
この単価を技能労働者の賃金に反映するよう求める石井国交相に対し、日本建設業連合会の山内隆司会長は、昨年9月に打ち出した『労務費見積り尊重宣言』などを上げ、「会員企業が真摯(しんし)に対応し、処遇改善が業界全体に行き渡るよう、宣言をしっかりと浸透させていく」との決意を示した。
さらに「経済的に不況感が強まると(処遇改善の取り組みが)後退する恐れがある」とも指摘。「建設キャリアアップシステムで後退に歯止めが掛けられれば、少なくとも二歩前進、一歩後退で済む。地道で息の長い努力を続けたい」と話した。
全国建設業協会(全建)の近藤晴貞会長は、会員企業の労務費を引き上げる動きが「まだまだ緒に就いた段階というのが実情」と説明。その上で、会員企業が1次下請けとの契約に新労務単価を反映するよう、改めて『単価引上げ分アップ宣言』を行い「都道府県協会を通じて会員企業に要請する」と報告した。
建設キャリアアップシステムの本運用が4月に始まることを受け、建設産業専門団体連合会(建専連)の才賀清二郎会長は「初期段階で登録した技能者、事業者が損しないよう、業界全体に早期の登録を呼び掛けてもらいたい」と要望。
全国中小建設業協会(全中建)の豊田剛会長は、週休2日工事の労務費補正が「実態と乖離(かいり)している」と述べ、係数の引き上げを要望。五道仁実大臣官房技術審議官は、補正分の支払いが事後精算であるとし「支払い実態を注視しつつ、係数をどうするか検討したい」と答えた。
提供:建通新聞社