国土交通省が建設業法の改正に本格的に動き始めたのは、2016年10月の「建設産業政策会議」の発足からで、2年半の検討を経て改正案の閣議決定にこぎ着けた。政策会議がまとめた『建設産業政策2017+10』をベースに中央建設業審議会の基本問題小委員会で改正法案に盛り込む施策を絞り込んだ。
建設産業政策会議が17年7月にまとめた『建設産業政策2017+10』で提言されたのは、建設業の「現場力の維持」と「制度インフラの再構築」。建設業が抱える最大の課題である担い手不足を克服し、建設業が現場力を維持するため、働き方改革や生産性向上につながる施策を改正法案に落とし込んだ。
改正法案では、長時間労働を是正し、適正な工期を設定する環境を整備するため、まず中央建設業審議会に「工期に関する基準」を作成する役割を持たせた。中建審の委員には建設業団体や公共・民間発注者の代表者が参加しており、この中で受発注者が工期に関する認識を共有し、許可行政庁基準に従わない受発注者を指導する枠組みをつくる。
担い手不足を補うため、現場の生産性を高める法的な措置も講じた。監理技術者の専任緩和や専門工事一括管理施工制度は、各企業が限られた技術者を有効活用できるようにするもの。プレキャスト製品をはじめとする工場製品を積極的に現場に導入できるよう、製品に不具合が生じた場合に製造メーカーを指導できる勧告制度もつくる。
高齢化した経営者からの事業承継も後押しする、建設業許可の特例も設けた。相続などの際に生じる許可の空白期間を解消するため、事前認可制で切れ目ない事業承継を可能にする。
国交省は、通常国会の会期末である6月26日までの成立を目指す。自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)は、建設業法・入契法と品確法を一体で改正し新担い手3法≠ニしての成立を見据えている。
提供:建通新聞社