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2019/03/18

建設業法改正案を決定 25年ぶり抜本改正

 政府は3月15日、建設業法・入札契約適正化法の改正案を閣議決定した。開会中の通常国会で成立すれば、建設業法は、公共工事での経営事項審査の受審を義務付けた1994年の改正以来、25年ぶりの抜本的な改正となる。長時間労働につながる短工期での請負契約を禁止したり、工期を含めた見積もりを提出する努力義務を設ける。また、建設業許可の基準を、71年の許可制の導入以来、初めて見直す。社会保険加入を許可要件に追加する他、経営業務管理責任者の配置義務を廃止する。
 建設業の働き方改革を推進するため、受発注者が適正な工期を設定する環境を法的に措置する。標準請負契約約款などと同様に「建設工事の工期に関する基準」を作成し、受発注者に実施を勧告できる権限を中央建設業審議会に付与。この基準を順守した工期設定を受発注者に求める。
 基準と比べ「著しく短い工期」で請負契約を結んだ発注者には、建設業許可行政庁が是正を勧告し、それに従わない場合に発注者名を公表できるようにする。元請け・上位下請けなどの建設業者に対しては、勧告、公表後に建設業法上の監督処分もできるようにする。
 建設業者の作成する見積もりの項目に、工種ごとの作業と必要な日数を追加。請負契約に、休日や現場を稼働させる時間帯も盛り込む。
 建設業許可の基準では、許可業種での5年以上の経営の経験者の配置を求める経営業務管理責任者(経管)の配置義務を廃止する。その代わり、企業全体で適切な経営管理の責任体制があることを求める。具体的な要件は改正法成立後に省令で定める。社会保険未加入の企業に許可・更新を認めないことも省令で基準に位置付ける。
 技術検定は、現行の学科試験と実地試験を「第1次検定」と「第2次検定」に再編し、第1次検定で施工技術の基礎、第2次検定で技術上の管理と指導監督の知識・能力を判定できるよう、試験問題を改める。改正法成立後の政令で、第1次検定合格者に与える「技士補」の資格を創設。1級技術検定に合格した1級技士補を「監理技術者補佐」として専任配置した場合、監理技術者が2現場を兼務することを認める。
 下請けに主任技術者の配置を求めない「専門工事一括管理施工制度」も創設する。上位下請けが指導監督的な実務経験(1年以上)のある主任技術者を配置すれば、下位下請けの主任技術者の配置を不要にする。この制度の活用には、注文者の承諾と下請けからの合意を元請けが得ることも条件にする。

「公共発注者に平準化の努力義務」

 入契法では、同法に基づく入札契約適正化指針に「必要な工期の確保」と「施工時期の平準化」を記載できるようにする。指針を閣議決定すると、地方自治体などの公共工事の発注者に対し、施工時期を平準化する努力義務を課すことになる。
 改正法が成立した場合の施行期日は2020年10月(技術検定の再編関連は2021年4月)を想定している。施工時期の平準化に関する入契法の規定は施行期日の前倒しも検討する。

提供:建通新聞社