国土交通省は、ICT施工の対象を道路工事と河川工事の現場で施工される全ての主要工種に拡大する。ICTを活用できる工種を広げ、工程全体の生産性向上につなげる。2019年度は、道路・河川工事に占める直接工事費や人工の割合が高い「法面工」「付帯構造物設置工」「地盤改良工」にICT施工を導入。土工では、現在の盛土・切土や法面整形工だけでなく、床掘、河床掘削、軟岩の技術基準類を策定し、ICT施工の導入範囲を拡大する。
河川の築堤・護岸工事でICTを活用する場合、盛土・切土や法面整形工ではICT土工を実施できるが、ICT施工の技術基準類の整備されていない付帯構造物設置工や地盤改良工などは従来施工を行うしかない。工事全体に占める直接工事費と人工の割合が高い工種に技術基準類を整備することで、一連の工程でICT活用を可能にする。
18年度中に技術基準類や積算要領をまとめ、19年度からICT活用が可能になるのは、付帯構造物設置工の「コンクリートブロック積(張)工事」と「排水構造物工」、法面工の「法面工(吹付)」、地盤改良工の「浅層混合処理工」と「中層混合処理工」。
法面工(吹付)と付帯構造物設置工は、土工と合わせて3次元設計データを作成し、施工、施工管理、出来形管理、検査に活用する。地盤改良工は、3次元MG設計データを作成してICT地盤改良機械の施工に活用する他、施工履歴データを活用して出来形管理や検査を効率化する。
一方、現在は盛土・切土と法面整形工に限定されている土工のICT活用の範囲も拡大する。「ICT土工(軟岩)」の出来形管理基準を整備し、平滑な仕上げが難しい転石や岩があっても、出来形管理に3次元データを活用できるようにする。床掘施工にもICT施工を適用できるよう、「ICT土工(床掘)」を実施方針に追加する。
「ICT土工(河床掘削)」は、ICT土工の起工測量、トータルステーション(TS)や船舶を使った断面での起工測量で3次元データを取得。ICT建機の施工履歴データを出来形管理と検査に活用する。
同省は20年度にも▽法面工(現場吹付法枠工)▽同(コンクリート法枠工)▽地盤改良工(深層混合処理工)▽舗装修繕工(路面切削工)▽同(切削オーバーレイ工)―の技術基準類を整備し、主要工種におけるICT活用を加速させる。
提供:建通新聞社