総務省は1月22日、空き家対策の取り組み状況について、全国の93自治体を対象に2017年10月から18年1月にかけて行った実態調査の結果を明らかにした。一部の大都市を除くと多くの自治体の担当者は1〜3人で、特に建物所有者の特定に伴う負担が大きい現状が分かった。同調査には対策の先進事例も盛り込んでおり、国土交通省・自治体による活用を促す。「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行から5年がたつ2020年を見据え、同法見直しの検討材料としても利用する。
空家法では、空家等対策計画の策定や、倒壊の恐れがある特定空き家を対象とした除却の代執行など、市町村による対策を規定している。ただ、施行後2年間で対策計画を策定したのは全国約1700の自治体のうち357自治体、行政代執行などを行ったのは40自治体にとどまっている。
同省は実態調査の結果を踏まえ、特に課題となっている建物所有者の特定について「空家法で可能となった固定資産税情報の活用が大きな効果を上げている」と指摘。この他、司法書士会や行政書士会などと連携して専門的な知見を活用した事例を示した。
所有者が不明な土地に管理不全の特定空き家が建っており、代執行により建物を除却しても土地の再活用が困難になっているケースも紹介。所有者不明土地法の施行により可能になった対応として、除却後の土地について都道府県知事が一定期間の使用権を設定し、広場や公園などとして整備・利活用する手法を提示した。
また、空き家の賃貸・売却情報を登録し活用を促す「空き家バンク」については、調査対象の93自治体のうち55自治体が運営。一定の需要はあるものの登録戸数が伸び悩む自治体が多いとし、制度の周知文書の送付や、売却価格に関する助言といった対策が有効だとした。
提供:建通新聞社