国土交通省は1月21日、建築設計業務と工事監理の業務報酬基準を10年ぶりに改定した。新たに「2019年国土交通省告示第98号」として制定した業務報酬基準では、直接人件費と同額を計上していた直接経費と間接経費の合計額について、直接人件費の1・1倍に補正する係数を導入。建築物の類型別の標準業務量を定めた略算表の数値は全面的に更新した。告示に合わせ、新基準を補足する技術的助言(通知)とガイドラインもまとめた。
業務報酬基準は、建築士事務所が建築主に請求できる業務報酬の目安となるもの。設計業務と工事監理業務の多様化、複雑化が進み、発注者からの要求水準も高まっていることを受け、2009年の制定以来10年ぶりに改定する。
新基準には、658設計事務所、6077プロジェクトを対象に行った経費率や標準業務量に関するアンケート調査の結果を反映。直接経費と間接経費の割合が実態と合っていなかったことから、略算方式では直接人件費に1・1倍を乗じて直接経費と間接経費の合計額を算出するようにした。
直接人件費の算出に使用する標準業務量を用途・規模別に示す略算表は、調査結果を踏まえて標準業務量を全面的に刷新。これまで示していなかった延べ2万平方b以上の大規模建築物、延べ500平方b以下の小規模建築物の標準業務量も追加した。
構造と設備に導入していた標準業務量の「難易度係数」を総合(意匠)にも導入。総合の設計業務では「特殊な敷地上の建築物」で1・05倍、「木造建築物(小規模建築物を除く)」で1・35倍の係数を乗じ、標準業務量を算出する。
基本設計と実施設計を別の設計事務所に委託する事例が増えていることを踏まえ、基本設計と実施設計の業務量の比率を技術的助言で設定。例えば、総合の「第1類」の基本設計が設計業務全体に占める割合を29%、実施設計等を71%とした。業務報酬基準の対象としていない「標準外業務」の増加により、適切な報酬を得られていないとの指摘を踏まえ、ガイドラインの中で標準外業務の詳細リストを提示している。
提供:建通新聞社