厚生労働省の雇用政策研究会(座長、樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)は1月15日、研究会の報告書(案)とともに、2040年の就業者数が「経済成長と労働参加が進まないケース」では17年(6530万人)に比べて1285万人減る―などとした推計結果を示した。「経済成長と労働参加が進むケース」でも、就業者数の減少は17年に比べ506万人減にとどまると推計。鉱業・建設業の40年の就業者数は「経済成長と労働参加が進まないケース」で17年(493万人)に比べ221万人減、「経済成長と労働参加が進むケース」でも205万人減になるとの推計結果を示した。
就業者数の推計は、わが国の人口が1億2671万人(17年)から40年には1億1000万人程度まで減少。65歳以上人口が40年頃には団塊ジュニアが65歳となってピークを迎、高齢化率も27・7%から35%超に上昇するとの見込みを前提とする一方、AIに代表される技術革新の急速な進展によって、働き方を含めた社会の在り方が変容する可能性のあることを加味して行った。
推計結果を男女別に見てみると、男性は「経済成長と労働参加が進むケース」では、年齢に関わりなく希望する全ての者が働ける社会の実現によって高齢層の労働力率は上昇。「経済成長と労働参加が進まないケース」と比べると40年時点の就業者数は約234万人増となるものの、人口減少の影響を受けて17年比は477万人減、となる見込みだ。
他方、女性は「経済成長と労働参加が進むケース」では、女性の就業環境の改善などによってM字カーブが解消。40年時点の就業者数も「経済成長と労働参加が進まないケース」よりも約545万人増となるものの、17年比は30万人の減、となるとみている。
研究会は報告書案の中で、40年のわが国が目指すべき姿として「一人ひとりの豊かで健康的な職業人生の実現」をうたい、人口減少・社会構造の変化の中にあっても個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にある「ウエル・ビーイング」の向上と、「多様な人々が活躍できる(ダイバーシティ)社会の実現」「生産性向上の好循環」―を目指すべきだと強調している。
提供:建通新聞社