国土交通省は1月9日、プレキャストコンクリート部材の接合部の設計・施工に「プレキャストコンクリート構造物に適用する機械式鉄筋継手工法ガイドライン」を活用するよう、全国の地方整備局に通知した。ガイドラインを順守することで、プレキャスト部材の接合部に機械式鉄筋継手を採用する際の耐久性を確保。ボックスカルバートやL型擁壁など大規模構造物のプレキャスト化を進め、コンクリート工の生産性を高める。
ガイドラインは、「道路プレキャストコンクリート工技術委員会」(事務局・道路プレキャストコンクリート製品技術協会)のガイドライン検討小委員会がまとめたもの。
プレキャスト部材の活用は、i−Constructionのトップランナー施策である「コンクリート工の生産性向上」の一環。要素技術の一つである機械式鉄筋継手工法は、2017年3月に現場打ちコンクリートに適用する上でのガイドラインが策定されたが、プレキャスト部材を対象としたガイドラインはこれまでなかった。
プレキャスト部材の接合部に機械式鉄筋継手を採用すると施工効率を高めることができるが、継手位置が一断面に集中する「全数継手」になったり、部材の中に配置された機械式鉄筋継手を目視で確認できないといった課題も生じる。
ガイドラインは、こうした課題を解消するため、プレキャスト部材に機械式鉄筋継手工法を採用する場合の設計・施工時の留意事項を記載したもの。同工法を適用する接合部は▽部材断面内にある鉄筋継手▽塑性ヒンジ区間内にないこと▽疲労の影響を受けないこと▽ヒンジになり得るように設計された区間内にないこと―とする。
鉄筋継手の性能を確保するため、土木学会の「鉄筋定着・継手指針 2007版」に規定する「SA級」「A級」相当の工法を採用することも求める。
設計段階では、機械式鉄筋継手のあきを「接合される主鉄筋の直径の1・5倍以上」、かぶりを「コンクリート中に配置される機械式鉄筋継手の最外面からコンクリート表面までの距離」などとすることを規定。施工時には、製造者などが主催する講習会を受講した有資格者の管理を求める。
提供:建通新聞社