国土交通省が外国人建設就労者の賃金形態を調査したところ、月給制が49・8%(2017年度時点)と半数近くを占めていることが分かった。技能実習生や日本人技能者よりも月給制を採用する割合が高い。外国人建設就労者の受け入れ企業には、同レベルの技能を持つ日本人と同等以上の賃金の支払いが求められており、日給月給よりも賃金が高い傾向にある月給制を選択する企業が多
い。賃金水準を確保することが、失踪者の抑制にもつながっている。
外国人建設就労者は、東京五輪の関連工事に伴う建設需要の増加に伴い、20年度末までの時限措置として創設された在留資格。この在留資格で入国し、9月末時点で日本国内で就労する外国人は4011人いる。
国交省の調査によると、外国人建設就労者の賃金形態は、月給制が49・8%と最多で、日給制(日給月給制含む)の38%、時間給制の8%が続いている。技能実習生(3年目)も月給制が最多の38・2%だが、外国人建設就労者と比べるとその割合は低く、月給制の日本人技能者は36・7%とさらに低い結果が出た。
外国人建設就労者の報酬は、同レベルの技能を持つ日本人と同等額以上とすることが告示で規定されており、ガイドラインではおおむね3年の経験者と同等に扱うことを求めている。受け入れの要件に賃金がある外国人建設就労者に月給制が多いのはこうした理由によるもの。月給制には、雨天による休工などの影響を受ける日給月給と異なり、月の賃金が一定に保たれる特長がある。
建設分野では賃金の低さを理由に失踪する技能実習生が後を絶たない。技能実習生の失踪者数7089人のうち、建設分野は2582人と全業種中ワースト(いずれも17年度)。一方、17年度の外国人建設就労者の失踪者数は35人で、17年度末時点の受入人数の1・2%と少ない。
外国人建設就労者は、同じ職種間での転職が認められており、このことに加え、月給制で賃金水準を確保したことが、失踪の抑制につながっている。
提供:建通新聞社