国土交通省は11月27日、「異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調節機能に関する検討会」を開き、西日本豪雨での被害を踏まえた提言案を報告した。提言案では、洪水調節機能を強化するため、ダム単独ではなく下流の河川改修と連携した対策を講じる必要性を強調。ダム再生でダム本体の洪水調節容量を増加させることに加え、下流の河川改修を進めてダムの放流量を増加させるよう求めた。
西日本豪雨では、長時間の豪雨で、ダムの洪水調節容量を使い切ったり、ダム操作の情報が住民の避難行動につながらない事態が発生した。検討会は、気候変動でこうした異常気象が頻発する恐れがあるとして、西日本豪雨の被害状況を検証した上で、検証結果を踏まえた対策を提言する。
27日の会合に示された提言案では、ダム下流の河川改修が遅れ、ダムの放流に下流河川の流下能力不足による制約があったことを問題視。ダムの洪水調節機能を強化するため、ダム下流の河川改修や貯水池流入河川の土砂対策を連携して進める必要性を指摘した。
具体的には、現時点の技術水準で実施可能な「直ちに対応すべきこと」として、ダムの容量を確保する土砂対策を実施するよう提言。貯水池内に流入する土砂の流入を抑制する対策、洪水調節容量内の堆砂除去を促進し、ダムの洪水調節容量を確保すべきとした。 さらに、効果発現まで一定の期間が必要な「速やかに着手して対応すべき」対策として、ダムの下流河川の改修を推進することを求めた。下流河川の改修で、より大きな洪水に対してダムの防災操作(洪水調節)を行うことができるようにする。
堤体の嵩上げなどによるダム再生の推進も提言した。ダム再生の効果が早期に得られるよう、付替道路の補償よりも本体工事を先行するなど、事業を加速させる方策を検討することを求める。
提供:建通新聞社