建設キャリアアップシステムの運用に合わせ、登録基幹技能者講習の創設を検討している専門工事業団体が増えている。建設キャリアアップシステムを活用した技能者の能力評価では、登録基幹技能者の有資格者を4段階で最高の「レベル4」に位置付けるため、講習のない職種の技能者はレベル4の評価を受けることができない。建築大工(ツーバイフォーなど)と土工で制度創設に向けた検討会が発足している他、ALCパネルなど3職種にも講習創設に向けた具体的な動きがある。
登録基幹技能者は、専門工事業団体を実施機関とする講習を受講した技能者に与えられる資格制度。各団体は、建設業法施行規則に基づく国土交通省の登録を受ける必要があり、現在は33職種が登録済み。18年3月末時点の有資格者数は6万2267人。
国交省は、建設キャリアアップシステに蓄積する就業履歴と資格情報を活用し、技能者の能力評価制度の構築を検討している。この中で、レベル1〜4の最高位に位置付けるレベル4には、登録基幹技能者を位置付けることになっており、システムに登録した登録基幹技能者にはゴールドカードが配布される。
ただ、レベル4の能力評価は、就業履歴やその他の資格取得を問わず、登録基幹技能者の有資格者に与えられる。このため、講習のない職種では、技能者がレベル4の能力評価を受けることができないため、未登録の職種の団体に登録の動きが出始めている。
既に木造建築の技能者向けに登録のある建築大工では、ツーバイフォーやプレハブ建築の大工職も資格を取得できるよう、講習内容の見直しが検討されている。今年8月には、現在の実施機関である全国中小建築工事業団体連合会に関係団体が加わった検討会も発足している。土工でも、機械土工の講習を実施している日本機械土工協会を事務局として、新たな講習の創設に向けた検討会が発足した。
建築大工と土工の検討会では、登録基幹技能者講習の創設に加え、レベル2(中堅技能者)、レベル3(職長・熟練技能者)の能力評価基準も合わせて検討し、能力評価制度全体の構築も見据えている。
この他、ALC協会(ALCパネル)、CB工法協会(溶接)、全国さく井協会(さく井)の3職種にも、国交省への登録申請に向けた具体的な動きがあるという。
提供:建通新聞社