鉄骨の接合部に使用する高力ボルトの生産が追いつかず、全国的な品薄感が続いている。国土交通省が行った緊急調査(10月25日〜11月2日)によると、需給動向は全国平均で4・76(1〜5点)と「ひっ迫」の傾向、価格動向も4・28と「やや上昇」の傾向を示した。同じ調査では通常時の高力ボルトの納期(平均)が1・5カ月から6カ月に長期化しているとの結果も出ており、工期への影響があると回答した企業も全体の83%に上った。
国交省の調査に回答したのは、建設企業や代理店・商社など305社。このうち、高力ボルトを取り扱う企業は供給・需要側で159社あった。
需給動向は「緩和」「やや緩和」「均衡」「ややひっ迫」「ひっ迫」の5段階で回答してもらい、1〜5点で回答を平均した。全国平均値は4・78と「ひっ迫」の傾向。3カ月先の需給動向は4・83とさらに「ひっ迫」の傾向がさらに強まる。価格動向は、「下落」「やや下落」「横ばい」「やや上昇」「上昇」で回答してもらい、全国平均値は4・28と「やや上昇」の傾向を示したが、3カ月先は4・44と上昇傾向が強まる。
需給のひっ迫が強まり、納期の長期化も顕著に表れている。通常の高力ボルトの注文から納品までの期間は全国平均で1・5カ月だが、最新の納期は6カ月まで長期化している。地域別に見ると、北海道の7・8カ月が最長で、中国の6・5カ月、近畿の6・4カ月が続く。
納期が長期化している要因としては、東京五輪の関連工事や大型再開発による旺盛な鉄骨需要に加え、好調な自動車や機械に鋼材が優先的に供給されているという声もある。また、溶接工不足を理由に「鋼材の継ぎ手部がボルト継ぎ手に変更され、需要が増えた」との回答もあったという。
回答した建設企業は、工期や工法の変更を発注者と協議したり、ボルトの発注を早めるといった対応を講じている。国交省では、高力ボルトの需給が厳しいことを踏まえ、高力ボルトを扱う建設工事で余裕を持った工期で発注するよう呼び掛けている。
提供:建通新聞社