全国知事会の国産木材活用プロジェクトチームを代表して小池百合子東京都知事が11月8日、国土交通省と農林水産省を訪れ、国産木材活用のさらなる拡大に向けた緊急提言として、新たな木質建築部材を使用した先駆的な建築物の整備や国産木材を使用した塀の設置、木造建築を担う設計・建築分野の人材育成などに対する支援を要請した。
全国知事会では、日本の国土の約7割を占める森林で戦後造成された人工林の多くが本格的な利用期を迎えているものの、木材利用が進まないために整備が行き届かず、国土保全や水源のかん養、温暖化防止といった公益的な機能が発揮されていない森林があることを問題視。大阪北部地震や7月豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震など大規模な自然災害が頻発する中で、森林の持つ土砂災害防止や洪水緩和といった機能の重要性が一層高まっていると指摘した。
また、2019年度の税制改正により森林環境税と森林環境贈与税の創設が予定されていることから、地方公共団体による国産木材利用などの取り組みを一層強化することが期待されているとし、地域活性化や防災・減災につながる国産木材活用をさらに拡大することが重要だと強調した。
その上で、「CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)など新たな木質建築部材を使用した先駆的な建築物の整備や、国産木材を使用した塀の設置など、需要創出に積極的に取り組む地方公共団体や民間事業者に対する支援の一層の充実・強化」「建築物の木造化・木質化を進めるための新たな建築資材の技術開発や、木造建築を担う設計・建築分野の人材育成に対する支援の充実・強化」を求めた。
提供:建通新聞社