国土交通省が都道府県の災害復旧事業における契約状況を調査したところ、工事で45団体、調査・設計業務で43団体に随意契約を活用した実績があることが分かった。地方自治法では、緊急時に競争入札を行うことができないケースなど、随意契約の活用を限定的に認めているが、内部規則(ガイドライン、要綱・要領など)を定め、随意契約や指名競争入札で柔軟に対応する都道府県も多い。
地方自治法施行令では、「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」などと定め、随意契約の活用を限定的に認めている。工事で45団体、調査設計で43団体がこの地方自治法施行令を根拠に災害復旧事業に随意契約を活用している。
具体的な運用について、要綱・要領、ガイドライン、通知などの内部規定を定めている都道府県が多い。建設工事で35団体、調査設計で26団体がこうした内部規則を制定し、随意契約を活用できる工事・調査設計の対象を決めている。
一方、国交省は、2017年7月に「災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン」を制定し、災害復旧事業の緊急度などに応じた入札契約方式選定の考え方を整理している。このガイドラインを運用している都道府県も22団体あった。
国交省の調査に対し都道府県からは「大規模な災害が頻発している状況で、その対応に苦慮している。先進自治体の対応事例などを情報提供してほしい」「随意契約による測量設計業者選定の具体的な方法を教えてほしい」といった意見が上がっている。また、災害復旧に指名競争入札を採用する場合、対象地域で競争参加資格を保有する業者を一律に指名するため、「事務負担の増加につながっている」という声も聞かれたという。
提供:建通新聞社