国土交通省は11月2日、リニア中央新幹線の開業効果を最大化する方策を考える「スーパーメガリージョン(SMR)構想検討会」を開き、2019年夏の最終報告に向けた議論を開始した。東京商工会議所の野本弘文副会頭がゲストとして参加し、土地の高度利用を通じた交流拠点整備や環状道路の早期開通により、SMRの効果を発揮できると述べた。加山俊夫相模原市長も参加し、SMR形成を見据えたまちづくりについて説明した。
検討会が7月に提出した中間報告では、リニアによる移動時間の短縮が、対面の機会や交流時間の拡大につながると分析。都市と地方、都市と都市の間で、新たなビジネスモデルやライフスタイルが生まれるとするイメージを示した。
2日の検討会で野本副会頭は、リニアによる移動時間の短縮がもたらすインパクトについて、国内の都市間競争にはつながらず、リニアで結ばれたSMRが世界の都市圏と競合するという将来像を示した。座長の家田仁政策研究大学院大学教授は、中国の一帯一路のような巨大プロジェクトに対抗する上で、外環道路や港湾などのハード整備に加えて労働慣行やビジネスモデルの変革が必要だと述べた。
また、井口典夫青山学院大学総合文化政策学部教授が、都市の成長について「容積率が制約になっている」と発言。技術や安全性が担保されることを前提に、三大都市圏での容積率を撤廃という将来像を提起した。
提供:建通新聞社