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中央ニュース

2018/10/23

インフラ維持 一括発注拡大で体制補完

 国土交通省は、インフラの老朽化対策を行う地方自治体の技術職員不足を補うため、包括的民間委託や共同処理の先進事例を全国に展開するための指針をつくる。インフラの巡回業務や点検・診断、補修・修繕を一括で発注する包括的民間委託や、複数の市町村による点検業務の共同発注などの事例を集め、指針として全国の自治体に周知する。都道府県や国交省の出先事務所が主導し、一括発注の地域や業務範囲を拡大したり、より長期で契約を結ぶことも視野に入れる。
 社会資本整備審議会・交通政策審議会の「社会資本メンテナンス戦略小委員会」を10月22日に開き、有識者らにこうした方針を提案した。
 市町村の技術職員は、1996年度のピーク時から約2割減少しており、技術職員がいない市町村も約3割ある。このため、国交省が主導し、市町村が管理するインフラの老朽化対策を支援するため、全都道府県に「道路メンテナンス会議」が設置され、点検業務の地域一括発注なども進んでいる。
 一方、人員不足を補うため、市町村が連携して巡回業務や補修を発注する共同処理や、巡回業務・維持業務・補修・修繕を一括で委託する包括的民間委託などの手法を導入する事例が増えている。国交省は、こうした先進事例を整理し、全国で活用できる指針を年内にも作成。技術職員不足に悩む市町村に周知する。
 国・県が関わり、地域、業務範囲、契約期間など、さらに大括りで関連する対策を一括で発注することも検討する。
 会合ではこの他、国・自治体などの施設管理者が保有するインフラデータ(点検・診断結果、補修履歴など)を電子化、各管理者のデータベースをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で統合する方針も示した。これら膨大なデータをAI(人工知能)で解析し、メンテナンスの高度化を図る『インフラメンテナンス2・0』を推進する。
 また、各施設の適正なLCC(ライフ・サイクル・コスト)を算出できるガイドラインもまとめ、アセットマネジメントによる長期的なコストの圧縮を図る。いずれの対策も年内にまとめる小委員会の提言に盛り込む。合わせて、今後5年程度の工程表も策定する考えだ。

提供:建通新聞社