国土交通省は10月12日、「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」として33件を選定した。建設現場で得られる作業員や建機の動き、コンクリート・土工の施工データを映像などでリアルタイムに把握し、省人化や施工時間の短縮、品質管理の高度化などにつなげる。国交省は、プロジェクトを試行する異業種コンソーシアムと最大5000万円で契約を結び、試行の必要経費を負担する。
プロジェクトの経費は、官民の研究開発投資の拡大を目指して2018年度に内閣府が創設した「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」から配分する。各コンソーシアムは、選定された新技術を直轄工事や自治体工事の現場で試行。品質管理に高い効果を上げた技術は直轄事業の品質管理基準に反映することも検討する。
同省が7月の公募段階で求めていたテーマは、データを活用した土木工事における「施工の労働生産性の向上を図る技術」と「品質管理の高度化等を図る技術」の二つ。
このうち、「施工の労働生産性の向上を図る技術」では応募32件中19件を選定。IHIインフラ建設を代表者とするコンソーシアムが、MR(ミクスド・リアリティ)デバイスで設計上の配筋位置を現場に再現し、配筋作業を支援する技術を試行する。
奥村組などのコンソーシアムは、作業員や建機の作業状況をカメラ・センサーで把握。人工知能(AI)でこのデータを解析し、停滞作業や手待ちのムダ削減を目指す。前田建設工業は、ウェアラブル製品の開発・製造を手掛けるミツフジと共同で、作業員の生体データを活用した安全対策を講じる。
「品質管理の高度化等を図る技術」では、応募のあった22件の中から14件を選んだ。清水建設などのコンソーシアムが、粗骨材の表面形状の点群データで振るい分け試験を代替する新技術を提案。淺沼組を代表とするコンソーシアムは、現場の映像や音声を位置情報とともに蓄積し、臨場検査の代替として活用したり、緊急時の協議を迅速化したりする。
提供:建通新聞社