全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が、改正品確法に基づく発注機関の関係事務の運用状況などについて、傘下の建設業協会と会員企業にアンケートしたところ、地方自治体に対して半数以上の企業が「発注時期と施工時期の平準化」と「適正な工期設定」「現場の条件による契約変更の実施」について「さらなる運用」を求めていることが分かった。また、災害時の緊急対応について2割超の会員が「体制(能力)が不足している」と回答。地域建設業の持続性確保のために約9割が「事業量の確保」と「適正な利潤の確保」「担い手の確保・育成」が必要だとした。
調査は7〜9月に実施し、41都道府県協会が回答した。会員企業は、都道府県協会を通じて925社が答えた。
改正品確法の運用指針に関して会員企業は、都道府県に対して65%が「平準化」、63%が「適正工期」、55%が「変更契約」について「さらなる運用」を求めた。
市区に対しては、「平準化」と「変更契約」を65%、「適正工期」を59%が要望。町村にも「平準化」を61%、「適正工期」と「変更契約」を55%が求めている。
具体的な意見や要望では「年度末に工事が集中し、人材確保、機材確保が困難。特に交通誘導員の確保に苦慮している」「発注者の職員の不足で監督体制が低下。設計変更などの対応に遅れが生じている」「早期着工ができるよう設計図書の精度を上げてほしい」といった声があった。
また、災害時の対応に関して「十分な体制が確保されている」という回答は10%にとどまった。67%が「最低限必要な体制はある」としたが、「体制(能力)が不足している」という回答が約4分の1の23%を占めた。前年度に行った同様の調査と比べ若干改善しているものの、体制不足が依然として2割を超えている。
体制不足を指摘した企業にその要因を聞くと、95%が「担い手」、43%が「機材等」、31%が「地域における企業数」とした。
地域建設業の持続性確保に必要な事項に関して、89%が「人員・機材・技術が維持できる事業量の確保」と「適正な利潤の確保」、88%が「担い手の確保・育成」を指摘した。
[休日とICT施工が拡大]
今回の全建のアンケートでは現場での週休2日の実施状況やICT活用工事への対応も聞いた。
週休2日では、完全土日休みを含む「4週7休」以上が30%で、前年度の調査より19㌽アップした。4週6休が最も多く、5㌽増の48%を占めた。「4週5休」以下は47%から23%に減少。休日の拡大傾向が顕著だった。
週休2日実現の課題(複数回答)では、「適正な工期設定」(88%)、「必要経費の補正」(88%)、「工事関係書類の削減」(83%)、「発注・施工時期の平準化」(77%)が多かった。
ICT活用工事では、実績のある企業が前年度の調査と比べ16㌽増え37%になった。実績のない企業は61%から50%に減った。UAV・ICT建機などの保有率も19%から33%に拡大した。
ICT活用工事の実績のある企業に感想を聞いたところ36%が「メリットが多い」と回答したが、14%が「デメリットが多い」、50%が「どちらとも言えない」と回答した。省力化・効率化のメリットがある一方、導入コストなどがデメリットになっている。
提供:建通新聞社