「4週8休」を事務所では39・5%が実現できているのに、現場では9・2%にとどまった―。全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が会員企業を対象に行ったアンケート調査の結果から、工事現場で週休2日の導入が遅れている実態が明らかになった。また、現場の4週8休の実現に向けて全建が2018年度から開始した、毎月の休日を前年実績より1日増やす「休日 月1+(ツキイチプラス)運動」を44・4%が「知らない」と回答。一層の周知など取り組み強化の必要が浮かび上がった。
アンケート調査は、全建傘下の各都道府県建設業協会の会員企業を対象に実施。働き方改革に向けた取り組み状況について、賃金などを含め18年8月1日時点の状況を聞いた。23・6%の4418社が回答した。
現場の週休の実施状況は、「4週6休」が50・6%で最も多かった。「4週5休」が20・2%、「4週7休」が11・0%で続いた。「4週8休」は9・2%にとどまった。「4週4休以下」という回答も9・0%あった。
「休日 月1+運動」については、「すでに積極的に取り組んでいる」と7・8%、「取り組みを検討している」と32・1%が回答。一方、44・4%が知らないと回答した。「知ってはいるが取り組む予定はない」という回答も15・7%あった。
改正労働基準法によって24年4月から建設業にも適用される時間外労働の罰則付き上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以下、年間720時間以下)をにらみ、各社で残業時間が多い上位3人ずつの実態についても聞いた。
対象者の月間残業時間は69・8%の人が「44時間以下」だった。しかし規制対象となる「100時間以上」が4・9%、「80〜99時間」が4・2%を占めた。前年の同時期に行った調査結果との比較では、それぞれ0・5㌽、1・4㌽減少した。
各社上位3人の年間残業時間では、「900時間以上」という回答が2・4%(前回比0・4㌽減)、「720〜899時間」が3・7%(0・3㌽減)あった。
長時間労働の抑制に向けた取り組み(複数回答)の上位は、「経営トップによる声掛け」が47・8%、「定時退社の呼び掛け」が34・8%、「休日出勤の禁止・抑制」が33・5%だった。
勤務時間の管理方法は、「本人の申告」が61・2%、「タイムカード」が26・5%、「勤怠・就業管理システムによる管理」が6・8%、「その他」が5・4%。タイムカードが前回より2・4㌽増加した。
働き方改革を進める上で優先順位の高いもの(上位3項目回答)は、1位「経営トップの意識」62・2%、2位「発注条件の改善(発注者の理解)」55・5%、3位「生産性向上(工程・業務・事務の合理化)」44・3%、4位「職員の意識」42・3%だった。前回調査と比べ経営トップの1位は変わらなかったが、職員の意識が2位から4位に低下。発注条件と生産性向上が1ランクずつアップした。
直近1年間の賃金については、52・1%が基本給、8・6%が一時金、20・3%が基本給と一時金の両方を引き上げており、全体で前回調査より2・4㌽高い81・0%が賃上げを行っていた。下請けの労務単価についても61・7%が引き上げたと回答。9・1%が前年に引き上げを実行しており、合わせて70・8%が2年の間に引き上げを行ったことが分かった。
提供:建通新聞社