西日本豪雨による被害額が約1兆0940億円に上り、水害としては1961年の調査開始以降で最大となる見込みであることが国土交通省の推計(速報値、9月18日時点)で明らかになった。土砂災害や浸水被害を受けた家屋や事業所など「一般資産等被害額」が約6290億円、直轄・補助の「公共土木施設被害額」が約4430億円に上るなど、被害総額は、76年の台風17号被害(8844億円)を大きく上回る見通しだ。
西日本豪雨では、西日本を中心に広域的、同時多発的に河川の氾濫、土砂災害が発生し、死者223人、行方不明者8人、家屋の全半壊2万0663棟、家屋浸水2万9766棟の被害が生じた(9月10日時点)。最大26万2322戸が断水するなど、ライフラインにも甚大な被害が出た。
国交省は、都道府県の報告を受けて毎年まとめる「水害統計」の集計方法に準じ、各行政機関の報告値をベースに被害額を推計した。
これによると、一般資産等被害額としては、家屋、家庭用品、事業所などに6290億円の被害があったと推計。公共土木施設の被害額は、国交省直轄事業分と補助事業分(都道府県報告数値)の合計額を4430億円と見込んでおり、ここに地方単独事業分の被害額も加算される。
この二つの被害額に「公益事業等被害額」(鉄道、ライフラインなど)の220億円を加え、被害総額を1兆0940億円と見積もった。
西日本豪雨を巡っては、社会資本整備審議会に設置された「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員会」が、年内に今後のソフト・ハード対策の方向性を提言する。政府全体でも、台風21号や北海道胆振東部地震も含めた被害を検証する「重要インフラの緊急点検」を行い、11月末に対応策を示す見込みだ。
提供:建通新聞社