政府は、西日本豪雨や台風21号、北海道胆振東部地震など相次ぐ災害の発生を受け、電力や交通、道路、河川など主要なインフラの緊急点検を開始する。安倍晋三首相が21日に開いた関係閣僚会議で指示した。11月末をめどに対応方策をまとめる。
21日の会議では、点検の目的として▽大規模地震によるブラックアウト(広範囲の停電)のリスク・被害の最小化▽大規模地震や施設計画を超える洪水、高潮に対する国際空港などの電気設備の機能確保▽バックウオーター現象による河川氾濫や土砂災害からの国民の生命の確保―などを列挙。特に「電力供給」と「国民の生命」に影響を及ぼすインフラを対象に緊急点検を行うとした。
「電力供給の支障で致命的な機能障害が発生するインフラ」としては、空港・港湾を例示。空港では、管制に必要な電源施設や旅客ターミナル内の非常用電源の設置箇所を点検する。港湾についてはコンテナターミナルの非常用電源の整備状況や天端高、耐震性などを点検項目に挙げた。
災害拠点病院や通信施設、中央卸売市場なども緊急点検の対象とし、電力供給が途絶えたときに機能を維持できるよう、非常用電源などの整備状況を確認する。
「国民の生命を守る」インフラとしては河川と道路を挙げた。河川では、堤防決壊リスクが高い箇所を点検し、堤防整備の対策状況を調べる。道路については、災害時に救急救命活動を支える道路ネットワークを確保するため、高速道路や直轄国道での土砂災害リスクを確認する。
安倍首相は、自身が3選された自由民主党総裁選で、国土強靱(きょうじん)化に向けた緊急対策を3年間で集中的に実施することを表明。緊急的な対策については、臨時国会に補正予算案を提出する考えを示していた。
提供:建通新聞社