国土交通省は、9月20日に開いた「専門工事企業の施工能力の見える化等に関する検討会」に、専門工事業の企業評価制度についての中間報告案を示した。2019年度中に運用を開始する同制度では、建設キャリアアップシステムに登録される技能者の就業履歴・保有資格をベースとして専門工事企業の施工能力、を見える化。中間報告案では、必須の共通項目として「財務状況等」「建設技能者の人数」「施工実績」など、各業種ごとに定める選択項目として「協力会社」「建設技能者の定着率」などを盛り込むとした。
企業評価のベースとなるのは、建設キャリアアップシステムに登録される技能者の保有資格と就業履歴。この二つの指標で技能者の能力を4段階で評価し、個々の企業がどのレベルの技能者を何人雇用しているかで企業の施工能力を評価する。技能者を育成する企業が適正に評価される市場環境を整えるのが狙いで、公共事業の入札で制度を活用することも検討する。
中間報告案に盛り込まれた共通項目は▽建設業許可▽建設業の営業年数▽財務状況等▽取引先▽社員数▽団体加入▽建設技能者の人数▽施工実績▽法令順守▽社会保険加入状況―の10項目。このうち「建設技能者の人数」では、自社で雇用する技能者を対象に、建設キャリアアップシステムの登録人数や技能レベルごとの人数を示す。
選択項目には、施工能力を表す「建機の保有状況」や「最大請負金額」の他、「労働時間」(直近の事業年度の1カ月平均の時間外労働時間)、「給与制度」(月給制、日給月給制)、「建設技能者の定着率」(技能者の勤続年数)など19項目を提示。「協力会社」の項目も設け、協力会社も含めた企業の動員力を評価できるようにする。
共通項目、選択項目のいずれも項目ごとに4〜5段階の星印で評価し、総合評定値などは設定しない。
各業種の特性を反映するため、専門工事業団体を主体に制度を運営する。国交省は18年度末までに制度を運用するためのガイドラインを策定し、このガイドラインに適合した団体を認定する。各団体が客観性、公平性を担保する第三者委員会を設け、評価基準を定めたり、実際の制度を運用する。
専門工事企業は、各団体に企業情報を提出するとともに、評価に必要な手数料を支払う。団体非加入の企業も評価を受けることができる。
国交省は、制度運用の詳細を詰めるため、検討会にワーキンググループを設置し、実務者レベルで評価基準、手数料、申請手続きなど検討する。WGには、専門工事業団体6団体の他、建設業振興基金なども参加する。
提供:建通新聞社