日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、建設技能者の賃金引き上げを後押しする「労務費見積り尊重宣言」を打ち出した。専門工事会社が積極的に技能者の給与を引き上げられるよう、1次下請け企業に技能者の賃金改善の趣旨に沿った労務費を見積書に盛り込むよう求め、この見積書を尊重して労務費を支払うことを会員企業に促す。建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)が今年5月に行った、技能・経験に見合った技能者の給与引き上げ決議に応える。
9月18日に開かれた国土交通省と建設業4団体との意見交換で、山内隆司会長が表明した。
今年3月、石井啓一国交相は建設業の担い手の給与を引き上げるよう4団体に要請。建専連はこの要請を受け、5月31日の総会で「技能や経験に見合った給与の引き上げを行い、技能労働者の処遇改善に努める」ことを会員の専門工事業団体と決議していた。
日建連の「労務費見積り尊重宣言」には、この決議を受けた各専門工事会社による技能者の給与引き上げを後押しする狙いがある。日建連の会員企業は、1次下請け企業に見積もりを依頼する際、給与引き上げに必要な労務費、法定福利費を明示した見積書の提出を求め、この見積書を尊重した上で請負価格を支払う。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、建設投資の回復、公共工事設計労務単価の上昇などを受け、建設技能者の年間賃金総支給額は445万円まで上昇している。しかし、2014年4月の日建連の提言「建設技能労働者の人材確保・育成に関する提言」では、全産業労働者平均(552万円)を目標として掲げており、依然として目標とする額には20%以上の開きがある。
1次下請けが技能者の給与を引き上げるための原資となる労務費と、社会保険加入の原資である法定福利費を適正に請求。元請けが見積書に応じて適切に請負価格を支払う好循環を生み出し、元請け・下請け共同で技能者の処遇改善を実現させる。
提供:建通新聞社