国土交通省は、コンクリートの初期欠陥の抑制と表層の品質向上を目的とする「コンクリート施工状況把握チェックシート」と「表層目視評価」の活用を2018年度に直轄工事27件で試行する。橋梁下部とトンネル工事を対象に、施工中のコンクリート表面のひび割れ、気泡、剥離などを発注者がチェックする。施工中に生じる不具合を抑制し、コンクリート表面の品質確保と高耐久化を図るための試みだ。
この取り組みは、山口県がコンクリート構造物のひび割れ対策として07年度に導入したもの。直轄工事でも、凍結抑制剤の影響による塩害などに悩んでいた東北地方整備局が先行実施している。17年度には、東北地整の成果を踏まえて他地整の発注工事12件(東北地整分除く)でも試行した。
今回の試行では、橋梁下部(橋台躯体工、橋脚躯体工)とトンネル(覆工コンクリート工)のコンクリートの打ち込み時に監督職員らがチェックシートを活用し、リフト、スパンごとに施工状況を確認する。脱型後から完成検査まで間に表層目視評価も行い、ひび割れ、剥離、気泡などを4段階で評価する。
受注者に立ち会いは求めず、評価結果を工事成績に反映することもない。チェックシートの活用、目視評価のいずれも施工中に2回以上行って確認後の施工に生かし、初期欠陥の抑制とコンクリートの品質向上につなげる。
18年度の試行を指示する文書を9月13日に各地整に送付した。試行の対象工事は▽高密度配筋の構造物▽コンクリートの締め固めを行いにくい環境▽打設回数が多い▽1日の気温差が激しい▽海岸に近い▽未熟練者が多く従事している―など、いずれかの条件に合う工事を各地整が選定する。18年度は、東北地整分を除き27件の工事で試行する見通しだ。
提供:建通新聞社