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中央ニュース

2018/09/11

建設業に再び電子化の波

 建設業に関係する手続きを電子化する動きが再び広がっている。公共工事では、1990年代後半から電子入札、電子納品の導入が進んできたが、国土交通省は契約段階の電子化にも着手。8月から直轄事業で試行案件の公告がスタートしており、10月には直轄事業で初の電子契約を結ぶ見通しだ。国交省はさらに、建設業許可・経営事項審査の申請も、2020年度以降に電子化することを検討。一部で電子申請への対応が始まっている建築確認も、国交省が19年度に簡易なシステム構築を支援し、電子申請の一般化を目指す。
 CALS/ECによって各発注者に広まった電子入札は、2000年代に入って急速に広まり、今では全都道府県・政令市の発注工事で導入されている。国交省は、公共調達において入札の次の段階に当たる、契約の電子化を決めており、19年夏から全ての直轄工事と調査・設計業務に電子契約を適用する。
 本格運用に先立ち、8月1日からは試行もスタートした。既に6地方整備局で対象案件を公告しており、10月以降、契約段階に移行する。
 対象は当初契約だけにとどまらず、契約変更、検査、支払い請求に至るまで電子契約システム上で行うようになる。受注者は電子入札用のICカードがあれば電子契約にも対応できるため、追加コストは必要ない。一方で、紙ベースの契約書に求められる印紙税の納付も不要になるため、受注者は手続きの効率化と、コスト負担の削減という二つのメリットを受けられるようになる。
 国交省は、建設業許可・経審申請の電子化も検討している。建設業許可・更新において、許可行政庁(地方整備局、都道府県)は現在、全ての申請書類を紙ベースで受け付けている。経審は、登録機関による経営状況分析は電子化しているが、許可行政庁が受け付ける経営規模等評価の申請、総合評定値の請求は電子化されていない。
 18年度は都道府県と許可業者へのアンケート調査を行っており、システム構築への工程表をまとめた上で20年度以降に電子申請を導入する。
 年間55万件に上る建築確認申請の電子化にも19年度から着手する。現在、一部の指定確認検査機関では電子申請を受け付けているものの、件数ベースでは全ての申請件数の3・6%にとどまる。
 ただ、特定行政庁(都道府県、一部の市)や中小規模の指定確認検査機関が独自にシステムを構築し、電子申請に対応するのは難しい。そこで国交省は19年度当初予算に4500万円を要求。電子署名と審査履歴の蓄積に限った簡易なシステムを構築する民間事業者を補助する。
 このシステムを特定行政庁と指定確認検査機関は利用料金を支払って活用し、建築主らの電子申請に対応する。

提供:建通新聞社