農林水産省は、西日本豪雨によるため池の決壊を受けて全国のため池を対象に7〜8月に行った緊急点検の結果を明らかにした。緊急点検を実施した8万8133カ所のため池のうち、今後の豪雨や台風に備えて「応急措置が必要」と判断されたのは1・7%に当たる1540カ所だった。既に自治体に対して応急措置を要請している。今後、災害復旧や補助事業を通して本格的な整備を進める。また、2019年度予算の概算要求でも、点検結果を踏まえた緊急対策の費用を求めている。
西日本豪雨では、32カ所のため池が決壊。うち3カ所で家屋への被害、1カ所では人的被害が発生した。
緊急点検の対象となったのは、下流の家屋が公共施設に被害を与える恐れのあるため池。堤体については、法面の陥没や亀裂、湧水、浸食といった変状の有無を目視で確認。洪水吐きと取水施設の損傷や、周辺地盤の変状も調べた。また、ため池内や堤体周辺の斜面・法面について、流木の堆積や、斜面崩壊の有無を点検した。
応急措置が必要と判断されたため池が最も多かったのは広島県(534カ所)で、2番目が岡山県(244カ所)。応急対象が100カ所を超えた県は西日本に集中した。
西日本豪雨で被災した箇所については、災害査定を経て復旧事業を進める見通し。それ以外の箇所についても、防災減災事業などの中で対策を実施する。
同省は点検後、都道府県・市町村に対し応急措置として▽ブルーシートによる被災箇所の保護▽堤体の安全性を確保するための水位低下▽被災箇所への立ち入り禁止措置▽洪水吐きに堆積した土砂・流木の撤去▽土のうによる崩落箇所の拡大防止▽巡視―などを講じるよう求めた。
提供:建通新聞社