国土交通省がまとめた「道路メンテナンス年報」によると、定期点検で「早期措置段階(V)」「緊急措置段階(W)」と判定された橋梁のうち、2017年度末までに修繕に着手した橋梁が都道府県・政令市で9%、市町村で13%にとどまっていることが分かった。14年度に始まった定期点検の実施率は4年間で全橋梁の80%と着実に進んでいるが、修繕にまで対応が及んでいない現状が明らかになった。
道路メンテナンス年報は、14年7月に始まった橋梁、トンネルなどの定期点検・診断の結果をまとめたもの。道路管理者には、5年に1度の点検・診断が義務付けられており、今回は4年目にあたる17年度の点検結果や点検後の修繕の実施状況を明らかにした。
各施設の点検実施状況を見ると、橋梁(72万3496件)は80%、トンネル(1万0878件)は71%、道路付属物(3万9875件)は75%となり、各道路管理者で着実に進展。18年度末には全ての施設の点検が一巡する見通しだ。
一方、14〜16年度に行った点検の結果を受け、17年度末までに行った修繕の実施率は道路管理者によって大きな差がある。4段階の診断結果で健全度の低い、判定区分V・Wの橋梁における修繕着手率は、国交省が62%と最も高く、高速道路会社の36%、市町村の13%、都道府県・政令市の9%の順に下がり、特に地方自治体の着手率が低い。
ライフサイクルコストの低下が期待できる、判定区分Uの「予防保全段階」の修繕着手率は、高速道路会社が3%、都道府県・政令市が1%、市町村が2%とほとんど着手できていない。
提供:建通新聞社