総務省は、国土交通省と経済産業省に対し、「下請け事業者の親事業者からの報復への恐れ」に対する対策や「駆け込みホットライン」などによる「通報・相談後の取り引き状況をフォローする取り組み」への着手を求める「勧告」を行った。「下請取引の適性化に関する行政評価・監視」のために行った調査の結果、下請け事業者から「報復の防止」を求める声が多かったのに対し、現状では下請け事業者への報復に関する状況把握ができていないことなどが分かった。
さらに、同省は国交省に対し、各地方整備局に下請け取り引きを含めた建設業法違反に関する通報窓口として設置している駆け込みホットラインについて、改善措置状況の適格なフォローアップを行うとともに、建設業の請負代金の支払い関する事案への対応の運用を統一するよう求め、都道府県においても国の取り扱いを参考にした改善・見直しが行われるよう、技術的な助言を行うことも促した。
同省が全国11都道府県庁所在都市に事業所を置く資本金500万円未満の5000社(1208社が回答)を対象に意識調査(2017年11月13日〜12月1日)を行ったところ、建設業の464社(43・4%)が下請法または建設業法に基づき、親事業者が順守しなければならない義務に違反する行為や、親事業者が下請け事業者に対して行うことが禁止されている行為に該当すると考えられる行為を受けたことがあると回答した。
禁止行為に該当すると考えられる行為としては「書面による契約締結義務の違反」(57・1%)、「工事着工前の契約締結義務の違反」(49・1%)、「変更契約の締結義務の違反」(48・5%)、「指値発注」(37・3%)などが挙がった。
また、7地方整備局と10都道府県の建設業法を所管する部局に個別案件への対応と事務処理状況について調査したところ、7地方整備局(駆け込みホットライン)が受け付けた相談などから抽出した83件のうち、法テラス(日本司法支援センター)などの法律相談窓口や国交省および各都道府県に置かれている建設工事紛争審査会などを案内するなどの教示・助言を行ったものが75件、建設業法違反に当たるか否か事実確認を行った結果、文書勧告1件、口頭指導6件を行っていた。
一方、10都道府県からは108件を抽出して処理状況を調べたところ、建設業取引適正化センターや建設工事紛争審査会などを案内するなどの教示・助言を行ったものが90件、建設業法違反に当たるか否か事実確認を行った結果、監督処分を行ったものが1件、文書勧告および口頭指導を行ったものが8件あった。
提供:建通新聞社