国土交通省は、積算作業の負担軽減を目的に導入された「施工パッケージ型積算方式」について、直轄工事の受発注者を対象とするフォローアップ調査を行った。調査結果によると、積上方式に要した積算作業の時間が「短縮している」と答えた受注者は74%で、前年度の調査よりも14ポイント上昇。官積算の価格の透明性が高まったと回答した受注者も80%と25ポイント上昇した。
施工パッケージ型積算方式では、直接工事費の積算に施工単位ごとの機械経費・労務費・材料費を含む標準単価を使用する。積算作業の簡素化、価格の透明性の向上を図るため、直轄工事で2012年10月に導入された。
直轄工事では、今年4月までに積算上の使用頻度で見て65%に当たる413単価が導入されている。同方式は、直轄工事だけでなく、全都道府県・政令市の発注工事にも採用されている。
調査は、同方式の導入効果と課題を把握するため、毎年行っているもの。今回は17年度に同方式を採用した直轄工事680件の受発注者に対し、アンケート形式で行った。
前年度調査よりも導入効果が高まったとの回答が多かったのは、透明性と作業時間の短縮に関する設問。受注者からは、標準単価と補正式が公表されたことにより、官積算の価格の透明性が「かなり高まった」とする回答が16%、「やや高まった」が64%となり、合わせて80%が透明性の向上を実感している。
積算作業に要する時間は、積上方式と比べ「短縮している」と回答する受注者が74%、「変わらない」が24%、「延長している」が1%となり、7割以上の受注者が作業の合理化を実現。発注者は「短縮している」との回答が45%と受注者より低いが、前年度と比べると22ポイント増えている。
一方、同方式の課題としては「歩掛廃止による影響」と回答する受発注者が最も多かった。パッケージ化された標準単価では、施工プロセスや内訳を理解しなくても積算が可能になるため、技術力の低下を招くとの懸念が依然として強い。
また、応札金額を決める際の要素として「官積算」と回答する受注者が71%となり、「下請け業者の見積もり・外注実績」の15%、「自社独自の算出方法」の12%と大きな差が出た。落札の可能性を高めるため、官積算を的中させようという受注者側の意向が改めて浮き彫りになった格好だ。官積算への的中を重視するあまり、施工実態や実行予算が応札金額に十分に反映されないという指摘は以前からある。
提供:建通新聞社