国土交通省は、インフラの維持管理を担う地方自治体の体制を補完する、発注関係事務の共同処理の運用実態を調査する。発注担当職員が不足する自治体では「事務の委託」「広域連合」「連携協約」などの手法を活用し、近隣との共同化で発注体制を補完する自治体が増えている。こうした先進的な自治体の制度運用の実態を調査し、自治体の発注体制補完の仕組みを検討する。合わせて、海外でインフラの維持管理に適用されている入札契約方式「フレームワーク方式」を調査する。
発注担当職員の減少や経験不足が進んだことで、市町村の中には脆弱(ぜいじゃく)化した発注体制を共同処理によって補完しようという動きがある。
地方自治法に基づく共同処理には、複数の自治体の発注権限を委譲された団体が発注を代行する「一部事務組合・広域連合」、小規模な自治体が中核市などに発注権限を委譲する「事務の委託」、自治体間で役割分担を定めて連携して発注事務を行う「連携協約」などがある。
国交省の建設産業政策会議がまとめた『建設産業政策2017+10』では、将来にわたって持続可能な発注体制を維持するため、これらの制度を活用して市町村が発注体制を補完することを提言している。
国交省は、既に共同処理制度を導入している約60団体にアンケート調査を行う。各自治体が共同処理で行った入札結果を分析し、具体的な制度運用の傾向を把握する。その上で、未導入の自治体が円滑に共同処理を導入できる仕組みを検討する。
さらに、2008年に英国で導入された「フレームワーク方式」についても調査。同方式は、複数の長期指名候補者を事前に選定し、各社と発注者が協定を締結。個別工事を発注する際には、協定締結企業の中から競争入札や随意契約で契約企業を選ぶ制度。
受発注者双方の事務負担軽減に加え、受発注者が安定的なパートナーシップを形成できるメリットがある。会計法や地方自治法といった、国内の法制度との整合性を調査した上で、担い手の確保が難しい中山間地域の維持管理などへの活用を目指している。
提供:建通新聞社