国土交通省、建設業振興基金、建設業団体などが参加する「建設キャリアアップシステム運営協議会」は、今秋に予定していたシステム運用の開始時期を2019年4月に延期することを決めた。現場での運用に必要なシステム本体(就業履歴の蓄積機能など)の開発に遅れが生じたことを受けた措置。年内にはシステム開発を終え、19年1月から少数の現場で「限定運用」を実施し、システムの安定性などを検証する。現場で混乱なくシステムを運用できるよう、段階を追って19年4月から本運用に移行する。
建設キャリアアップシステムは、今年4月から一部で登録申請の受け付け、7月末からは技能者・事業者ID、キャリアアップカードの発行も始まった。ただ、システムの開発は当初の想定より遅れており、技能者・事業者登録のインターネット申請も約2カ月遅れの6月から始まった。
現場で技能者の就業履歴を蓄積するための本体システムの開発にも遅れが生じている。システムの運営主体である建設業振興基金が改めて工程を精査した結果、本体システムと就業履歴登録機能アプリなどの開発を終えるには、12月末までかかることが分かった。
このため、今秋からとしていた運用開始(現場・契約情報の登録、就業履歴の蓄積)を半年間延期、19年4月からとすることで円滑なシステム運用を目指す。本体システムの開発後、19年1〜3月には現場の規模、工種などを限った「限定運用」を行い、システムの安定的な稼働を検証する。限定運用する現場の就業履歴は19年4月の本運用後も引き継げるようにする。
本運用を19年4月とすることに伴い、今年9月末までの技能者登録のインターネット申請を対象とする早期割引の期限も延長する。19年3月末までは、インターネット申請での技能者登録料は通常の2500円から2000円に割り引く。登録した事業者が支払う管理者ID利用料、現場利用料も19年3月末まで無料にする。
システムを活用した技能者の能力評価、専門工事業の企業評価は、当初の予定通り19年4月から運用する。建設キャリアアップシステムと民間システムとの連携(API連携)には16件の申請があり、12月以降の認定を予定している。
提供:建通新聞社