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2018/08/07

改正民法に対応 中建審に約款改正WG

 国土交通省は8月6日、中央建設業審議会の総会を開き、民法改正に伴う「約款改正ワーキンググループ(仮称)」を設置することを決めた。民法制定以降120年ぶりの大改正となった債権関係の規定が2020年4月に施行されることに合わせ、同省は標準請負契約約款を改正する方針。債権関係の規定のうち「契約不適合責任」「契約解除」「譲渡制限特約条項」の三つの論点で学識者、受発注者に意見を聞き、請負契約の実態を踏まえた改正内容を19年末までにまとめる。
 建設業法では▽公共工事標準請負契約約款▽民間建設工事標準請負契約約款(甲)▽同(乙)▽建設工事標準下請契約約款―の標準請負契約約款について、中建審が作成し、各発注者に実施を勧告すると定めている。
 債権関係を中心とする民法改正を受け、建設業者も請負契約書、請負契約約款を見直す必要がある。国交省は、中建審に学識者や受発注者が参加するWGを設け、標準請負契約約款を改正する。建設業者に請負契約の実態に沿った標準請負契約約款を示し、請負契約書、契約約款の見直しに役立ててもらう。
 改正民法では、これまで使用していた「瑕疵(かし)」の文言が「種類または品質に関して契約の内容に適合しない」(契約不適合責任)に修正された。これに伴い、買主(発注者)は、請負契約に契約不適合がある場合、売主(受注者)に対して現行の損害賠償や契約解除などに加え「代金減額請求」ができるようになった。
 また、瑕疵担保責任の追及には「瑕疵を知ってから1年以内の権利行使」が必要だが、権利行使には損害賠償請求の表明と請求額の算定根拠を示す必要があり、発注者の負担が重い。改正法では、発注者が「契約に適合しないことを知ってから1年以内に通知」すれば権利行使することを認める。債権の消滅時効にも「権利を行使できる時から10年」に「権利行使できると知った時から5年」という時効期間を追加している。
 建物・土地の契約に限り、瑕疵があっても契約解除を認めていなかった制限規定は廃止。債務不履行が軽微である場合を除き、発注者は契約を解除できる。
 一方、中小建設業の資金調達手法として普及しつつある売掛債権の譲渡(譲渡担保)は、受発注者間で制限特約を結んでいても効力を妨げないとした。特約に違反することは、契約違反(債務不履行)ではなく、発注者が取り引きを打ち切ることは権利濫用に当たることを明確にした。
 民法改正を受けて標準請負契約約款を見直すに当たり、請負契約の実務の実態を反映する必要がある。WGでは、例えば、契約解除の対象にならない債務不履行が「軽微」なケースについて、「軽微」な範囲を標準請負契約約款で明確にする。また、債権譲渡の効力の見直しに合わせ、特約条項の在り方を議論する必要もある。

提供:建通新聞社