7月豪雨緊急ルポ 岡山県建設業協会の災害対応
■道路防災計画 大規模水害時に機能せず
応急復旧の要請は、被災地を管轄する県民局から当該支部に連絡が入る。支部と県民局は応急対策の細目協定を結んでおり、現地を誰よりもよく知る行政と業界団体が直接連絡を取り合うことで、より迅速に復旧活動に当たることができる。要請内容などは県建協対策本部にも各支部からリアルタイムで届けられ、本部からも適切な指示が飛ぶ。
最初に動きがあったのは7日の午前6時。砂川と国道250号との交差部から上流左岸側で100bにわたり堤防が決壊し大量の水が市街地に流れ出しているとの連絡を県から受け、西大寺支部がその対応に当たった。現場に入ったのは長田建設と村上興業の2社。その後、笠岡・井原・矢掛・浅口の各支部にも支援要請が次々と舞い込み、各支部の会員企業がその都度、倒木の撤去や道路を覆う土砂の除去などに奔走した。中でも被害が甚大だった倉敷市真備町地区の災害対応には吉備支部がその任に就いた。
しかし、会員企業の多くも社屋が浸水し、機能が停止している状態が長く続いていた。片岡公省前支部長の会社(オカジュウ)も例外ではない。3階建ての社屋の2階部分まで濁流が押し寄せる惨状であった。
吉備支部が対応に当たったのは少し水が引き始めた8日から。しかし現場に資材を運ぶダンプが手配できない現実にぶつかる。なぜなら、災害支援の要請は県からだけではなく国からも地元自治体からも絶え間なく入ってくるからだ。その都度それらの要請に対応する必要に迫られ、結果的にはより緊急性の高い復旧依頼が後ほど入っても、車両や資機材の不足に悩まされる。仮にダンプが手配できたとしても、現場に行くまでの道路が被災しており、交通渋滞とも相まって、場所によってはほとんど身動きできない状況であったという。
後に県建協が「道路防災計画は主に震災を想定したものであり、今回のような大規模な水害時ではほぼ機能しないことが如実になった」と語った言葉が印象的だ。12日になってようやく、小田川の支流である末政川と真谷川の破堤現場に重機が入った。担当したのは中本屋工務店、そしてオカジュウの姿もそこにはあった。
提供:建通新聞社