7月豪雨緊急ルポ 岡山県建設業協会の災害対応
■被災箇所1,790件 被害額179億円
荒木雷太会長が18支部の各支部長にファクスで緊急連絡を送付したのは、県全域に猛烈な雨が降りしきる6日正午。台風7号が九州に接近した3日以降、梅雨前線とも重なり長期的な荒天が続いていた。荒木会長から各支部への連絡は、今後緊急対応の必要がある場合への注意喚起を促すものであり、この時はまだ、それほどの切迫感はなかった。
不穏な空気が漂い始めたのはそれから数時間後。
「大雨特別警報」が発令され、携帯電話からはひっきりなしに避難勧告や避難指示の連絡が鳴り響く中、午後4時30分に岡山県が災害対策本部を立ち上げ、それに呼応して、荒木会長は即座に4人の副会長に電話で連絡を取り、県建協でも午後5時15分に災害対策本部を建設会館内に組織した。荒木本部長をトップに、まずは指示系統の明確化を図り、刻々ともたらされる被害情報の把握にも努めた。
まずは第一に、会員企業と会員家族の安否状況の確認を最優先。そして、連絡責任者である対策本部の大前進専務理事が、災害時の応急対策に関する協定を結ぶ県からの要請に基づき応急対策業務の実施を指示したことにより、ここから一気に緊張感が高まった。
災害時の緊急対策は時間との勝負である。しかし、2次被害につながる恐れも十二分にあり、復旧作業は常に命懸けだ。倉敷市真備町では、予想を上回る速さで1級河川の水かさが増し、その支流である小田川の左岸各所などが決壊したことにより、予想をはるかに超える広範囲での浸水被害をもたらした。これ以上の被害拡大を食い止める術は、もはや決壊した堤防を早急に修復する以外はない。
このような切羽詰まった状況が、他の河川をはじめ県内各地の用水路やため池など至る所で見られ、あまりの多さに応急復旧は困難を極めていた。7月18日現在の県がまとめた被害状況によると、道路や河川、砂防、下水道などの公共土木施設の被災箇所は1790件で、被害総額は179億2386万円に上る。