国土交通省と総務省は7月10日、西日本豪雨の災害復旧事業に随意契約を活用するよう、全国の地方自治体に通知した。西日本の広域に及ぶインフラ被害を短期的、集中的に復旧する必要があるため、道路啓開、がれき撤去、堤防、河川管理施設などの「応急復旧事業」だけでなく、孤立集落を解消するための橋梁復旧など「緊急度が極めて高い本復旧事業」にも随意契約を活用するよう明記した。
国交省土地・建設産業局建設業課長、総務省自治行政局行政課長の連名で、地方自治法に基づく技術的助言として全国の自治体に通知した。西日本豪雨の災害復旧事業が本格的に開始されることを控え、入札契約方式の取り扱いを明確にし、各自治体に周知した。同様の通知は、東日本大震災で発生後1カ月半、熊本地震で2週間後に自治体に送付したが、今回は発災後2日で対応した。
今回の通知は、国交省が昨年7月に策定した「災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン」を踏まえ、これまでよりも踏み込んで随意契約の活用を促したのが特徴。被害の最小化や原状復旧を急ぐ狙いがある。
具体的には、応急復旧事業(道路啓開、がれき撤去、堤防、河川管理施設など)だけでなく、孤立集落を解消するための橋梁復旧など「緊急度の極めて高い本復旧事業」でも、随意契約が活用できることを明記。また、その後の復旧事業でも、手続き期間の短い指名競争入札の活用や、一般競争入札の手続き期間の短縮により、早期に工事に着手するよう求めた。
さらに、WTO対象工事で採用する入札契約方式についても記載。WTO協定第13条では、緊急性の高い復旧工事に随意契約(限定入札)を適用できるとしており、WTO対象工事への随意契約の適用が可能であることを改めて周知。WTO対象工事に一般競争入札を採用するケースでも、入札公告を通常の入札の「40日前」から「10日前」に短縮できるとした。
この他、復旧事業におけるダンピング受注を排除するため、低入札価格調査制度で「数値的失格判断基準」を活用することも求めた。
提供:建通新聞社