国土交通省は、「コンクリート橋のプレキャスト化」と「現場打ちコンクリートにおける埋設型枠・プレハブ鉄筋」を直轄工事で採用しやすくする。有識者や関係団体と策定したガイドラインを活用し、現場打ちコンクリートとプレキャスト部材を適正に比較検討できるようにした他、現場打ちの要素技術である埋設型枠・プレハブ鉄筋を採用する際の留意事項を明確化。設計段階でこれらの工法・要素技術を採用しやすい環境を整え、コンクリート工の生産性向上につなげる。
産官学でつくる「橋梁等のプレキャスト化及び標準化による生産性向上検討委員会」が、『コンクリート橋のプレキャスト化ガイドライン』と『コンクリート構造物における埋設型枠・プレハブ鉄筋に関するガイドライン』を策定した。国交省は6月27日、これらのガイドラインを活用して
コンクリート工の生産性を向上させるよう、各地方整備局に通知する。
コンクリート橋では、JIS規格(支間長5〜24b)のある「T桁橋」と「スラブ桁橋」でプレキャスト部材の採用が多い。ただ、支間長24b超では、JIS規格があるのは「PCコンポ橋」などに限られており、プレキャスト部材の施工実績も少ない。
プレキャスト化のガイドラインでは、支間長24b超の規模でプレキャスト化が採用されるよう、予備設計段階で橋梁形式を選定する際の比較検討方法を明示。工場製作のプレキャスト部材は、工期短縮による労務費の削減などの効果があるが、直接工事費のみの比較では、現場打ちの方が経済性が高くなる。
ガイドラインでは、直接工事費に加え、間接工事費に含まれる現場作業日数に伴う仮設資機材の損料、交通安全誘導員などを積み上げで計算し、適正に経済性を判断するよう求めた。
一方、コンクリートの打設後に撤去していた型枠を本体コンクリートの外壁などに使う「埋設型枠」、型枠内に組み立てる鉄筋を現場近くのヤードで製作する「プレハブ鉄筋」は、現場打ちの生産性を高める効果が期待できるが、現時点で施工実績は少ない。
ガイドラインでは、設計・施工上の留意点や採用事例などを記載しており、これら要素技術を活用して現場作業の一部を工場作業化し、現場で中詰めコンクリートを打設して構造物を構築する「ハーフプレキャスト」による現場施工の効率化を目指す。
提供:建通新聞社