国土交通省は、6月11日に開いた「津波防災地域づくりと砂浜保全のあり方に関する懇談会」(座長・佐藤愼司東京大学大学院教授)で、津波防災地域づくりに関する中間まとめ案を提示した。地域の実情に配慮し、比較的発生頻度の高い「L1」津波よりも低い堤防の整備など、多様な災害対策に対して財政支援を行うことが必要だとした。
現在の津波対策は、比較的発生頻度の高い「L1津波」に対してはハード対策による被害の抑制、想定最大規模の「L2津波」に対してはソフト対策も含めた多重防御による人命の確保を基本としている。
中間まとめではL1津波対策について、財政上の制約により堤防嵩上げに時間がかかるケースや、嵩上げを段階的に進める事例、観光上の理由から大規模な堤防整備が難しい地域などを例示。L1津波に対応した海岸堤防の整備だけでなく、それより低い高さの堤防を当面の目標とする地域についても、緊急的な整備が必要な場合などに限って財政支援を行うことが必要だとした。
また、住民の集団移転や地盤の嵩上げ、津波避難施設の整備など多様な津波対策を、堤防整備と一体的に実施することが有効だと指摘。より柔軟で効率的な財政支援の仕組みを考えることが重要だとした。
L2津波に対しては、津波浸水想定に基づく津波災害特別警戒区域の指定や、建築基準法に基づく災害危険区域の指定といった土地利用の規制を重視。ハード対策の進展に応じて規制対象範囲を狭めることもできるとした。
提供:建通新聞社