国土交通省は、下水処理場を地域活性化の拠点として再整備する「処理場リノベーション」に取り組む。汚水処理の普及率がほぼ完了する10年後を見据え、処理場の集約・再編に合わせたエネルギー拠点、防災拠点への再整備を推進する構想。2019年度当初予算案の概算要求に関連経費を盛り込み、こうした事業に取り組む地方自治体を後押しする。
汚水処理人口普及率(下水道、農業集落排水施設等、浄化槽など)は、2016年度末に初めて90%を超えた。今後は、人口減少に伴う使用料収入の減少、施設の老朽による更新コストの増加が懸念され、汚水処理の普及から持続可能な事業運営へと本格的な転換期を迎える。
自民党の下水道・浄化槽対策特別委員会は今年5月、人口減少下での持続可能な事業運営を求める提言「汚水処理リノベーションの推進に向けて」をまとめ、処理場の改築・更新予算の確保、再編・集約による管理の効率化、汚泥のエネルギー化による料金収入の多角化を求めた。
この提言を踏まえ、国交省は、処理場の集約・再編と地域活性化を同時に進める「処理場リノベーション」の推進を検討している。
処理場の統廃合に合わせ、上部利用による防災拠点化、汚泥・バイオマスを活用したエネルギー拠点化、再生水・下水熱を活用した農業生産拠点化を推進。統廃合で生じる処理場跡地は公園などとして再整備し、地域に開放する。
19年度当初予算の概算要求に関連経費の計上を検討している。下水道管理者である自治体がこれらの事業を進める際、交付金を充当することを検討している。
提供:建通新聞社