国土交通省は6月7日、「建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会」の初会合を開いた。建設職人基本法の基本計画で求められた安全衛生経費の確保策を検討する。初会合では、国交省が安全衛生経費として定義される項目をリスト化し、各団体に意見を求めた。下請けまで安全衛生経費がいきわたるよう、社会保険加入対策と同様に安全衛生経費を内訳明示した見積書を活用することも提案した。
建設職人基本法では、建設工事従事者の安全と健康を確保するため、安全衛生経費が確実に支払われる施策を国に要請。昨年6月に閣議決定された同法の基本計画でも、国に実効性ある施策を講じるよう求めている。
安全衛生経費は、労働災害防止への効果を特定することが難しく、元請け・下請け間の負担区分も不明確。このため、検討会ではまず、安全衛生経費に区分されるべき経費を明確にし、経費の定義付けを図る。
国交省は初会合で、労働安全衛生法令や関係するガイドラインに位置付けられた項目(足場、保護具類、昇降設備、新規入場者の教育訓練など)をリスト化。このリストをたたき台として、次回の会合で、各団体に安全衛生経費として定義すべき項目案を固める。
さらに、安全衛生経費が下請けまで確実に支払われる施策も検討する。国交省は、法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を活用した社会保険加入対策を参考に、安全衛生経費を内訳明示した見積書の活用を検討すべきと提案した。
安全衛生経費の内訳明示により、発注金額の増加を懸念する民間発注者の理解を得るため、まずは目安額として経費を示すとした。
国交省は、安全衛生経費の項目、積算方法、明示の有無などの実態を把握するため、発注者・元請け・下請けに対するアンケート調査も行う。次回の検討会で調査内容を決定する。
提供:建通新聞社