「債務負担行為の活用」や「柔軟な工期の設定」などにより、施工時期の平準化に取り組む都道府県が増加している。国土交通省が行ったアンケート調査によると、交付金事業にゼロ債を活用している都道府県は2年前の6団体から37団体に増加。単独事業や補助事業でも債務負担を活用する都道府県が増える一方、予算に占める債務負担行為の設定額の割合が1%に過ぎない都道府県もあり、設定枠の拡充による「平準化」の実効性確保が課題といえそうだ。
国交省の社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金を充てる事業では、配分額の決定がが新年度になるため、前年度中の契約が必要なゼロ債の活用を控える地方自治体が多かった。このため、国交省は、交付金事業にゼロ債を活用できることを明確にし、2016年2月に通知していた。
同省の調査によると、今年2月時点で交付金事業にゼロ債を活用している都道府県は37団体で、通知を発出した16年2月以降、新たに31団体がゼロ債の活用に踏み切った。さらに、設定枠の拡充となどによる取り組みの強化を検討している都道府県も27団体あった。
18年度の都道府県の公共事業予算の合計額に占める債務負担設定額の割合(債務負担設定率)は15・6%あるが、債務負担設定率は1%から50%まで開きがある。4〜6月の閑散期の施工量を増やし、施工時期を平準化するためには、各都道府県が債務負担の設定枠を拡充し、実効性を高める必要がある。
「市区町村 発注規模50億以上で促進」
市区町村における施工時期の平準化は都道府県よりも遅れており、債務負担を活用している市区町村は384団体(17年度末時点)と、全体の22・3%に過ぎない。国交省は、年間発注規模が50億円を超える市区町村(政令市)約250団のうち、債務負担を活用していない市区町村にターゲットを絞り込む。対象の市区町村は、継続的に平準化への対応状況を把握し、対応の強化を促す考えだ。
提供:建通新聞社