国土交通省は、下請け企業の主任技術者の配置要件を緩和した「下請共同施工制度(仮称)」の創設を検討する。同じ業種の上位下請けが下位下請けの主任技術者の業務範囲をカバーすることで、下位下請けの主任技術者の配置を求めない仕組みだ。下請けの主任技術者の配置要件が緩和されれば、繁忙期の労務提供が円滑になり、下請け間の重層化を回避する効果も期待できるとみている。
建設業法の技術者制度では、500万円以上の工事を請け負う全ての下請けに主任技術者の配置を義務付けている。2次以下の下請けであっても、請負金額が500万円を超えれば主任技術者を配置しなくてはならない。
国交省は、施工管理の範囲が限られていれば、上位下請けの主任技術者が下位下請けの施工管理もカバーできると判断。同業種の下位下請けに主任技術者の配置を不要にした「下請共同施工制度(仮称)」を立ち上げる。
同制度は、定められた業種の下請けに対する選択肢として整備し、制度利用の強制はしない。2次以下の下請けで主任技術者の配置を不要とする代わりに、1次下請けの主任技術者を専任とするよう求め、適切な施工を確保する。工事の途中段階での同じ次数での参加企業の追加は認めるが、施工範囲を明確にするために制度適用後にさらに下請け契約を結ぶことは禁止する。
同一業種の下請けがJVを結成し、幹事会社のみが主任技術者を配置する方式も検討する。
1次下請け、2次下請けでは、労務の不足を補う理由で再下請けとするケースが多いため、主任技術者の配置を不要とすることで、重層下請構造を改善する狙いもある。他の現場を含めた業務分担、勤務時間の均衡を図ることで、現場の生産性向上や、技術者の働き方改革につながることも期待している。
提供:建通新聞社