国土交通省は、地震発生時に防災拠点となる建築物(庁舎、病院など)の企画・設計時に活用する「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン」をまとめた。地震発生時に損壊すると防災拠点が機能不全に陥る可能性がある、構造体・非構造部材・建築設備の性能について、建築基準法の1・25倍、構造耐力の1・5倍などを確保する目標水準を設けるよう求めた。
熊本地震では、大津町、益城町、宇土市、人吉市、八代市の庁舎が損傷・倒壊のため、外部に機能を移転する事態に追い込まれた。また、益城町の避難所指定された建築物は、新耐震基準の強度を確保していたが、非構造部材や構造部材の損傷・落下により、14棟中6棟が避難所として使用することができなかった。
国交省では、倒壊・崩壊に至らなくても、機能継続が困難になったこれらの事例を教訓に、防災拠点となる建築物の機能継続に焦点を当て、企画・設計時の参考となるガイドラインをまとめた。
ガイドラインでは、建築主が地域防災計画などに基づき、機能継続に関する目標を設定。設計者は、建築主の目標を達成するため、構造体、非構造部材、建築設備の状態に目標水準を定めるよう求めた。具体的には、建築基準法の1・25倍、構造耐力の1・5倍を確保すべき―などとしている。
提供:建通新聞社