国土交通省は「津波防災地域づくりと砂浜保全のあり方に関する懇談会」の中間報告(素案)をまとめ、今後の海岸堤防整備や津波防災の方向性を示した。比較的発生頻度の高い「L1津波」から人命を守るために海岸堤防を緊急で整備する地域に対し、重点的に財政支援を講じることなどを提言している。
東日本大震災以降、最大クラスの津波(L2津波」には、ハード・ソフトを組み合わせた「津波防災地域づくり」、L1津波は人命・資産を守るハード整備(海岸堤防の嵩上げなど)が進められている。
中間報告(素案)では、海岸堤防の整備状況は地域によって幅があるため、南海トラフ地震などの切迫性が高まる中、海岸堤防の整備を早急に進める必要があると強調。ソフト・ハードの両面で、速やかに講じるべき施策を提言している。
具体的には、景観・環境との調和や財政制約でL1津波からの被害を防止する海岸堤防の嵩上げが進んでいない地域があり、そうした地域への財政支援を重点化する必要性を指摘。海岸堤防の整備を含む総合計画を策定することを条件に、堤防の嵩上げを重点的に支援する。
また、L1津波に対するソフト事業を交付金で支援することで、海岸堤防の整備効果を高める。建築基準法に基づく災害危険区域として指定するなど、周辺地域の土地利用規制なども求めている。
提供:建通新聞社